熱帯のタイは温帯の日本と気候が違います。温度も高く湿度も高いタイでは、食品の中に含まれるウイルスや寄生虫、バクテリアによって病気にかかることがあります。不衛生な食品に手を出したり、バクテリアに汚染された水を飲んだりして体調を崩し、滞在中ホテルに閉じこもりきりということがないように、自分で自分の健康を守るつもりで行動しましょう。
タイでかかりやすい病気
以下にあげるものは、気候や衛生上の理由でタイ滞在者がかかりやすい病気です。
その他にも出血性結膜炎、食中毒、水痘、狂犬病、日本脳炎、AIDS、マラリアなども注意が必要です。
風邪
暖かい地域への旅行中は、意外とエアコンの風で体調を崩すことが多いものです。「暑いからエアコンが強いデパートで一日中過ごした」、「暑いからエアコン温度を低く設定したまま寝た」という場合、翌日にはもう体がだるく熱っぽくなっていることがあります。建物や長距離バスに長時間いるとわかっているときには長袖を一枚持って行きましょう。またエアコンはタイマーを設定して自動的にオフになるようにし、つけたまま眠ることも避けましょう。
下痢
タイ保健省の発表では、タイでは毎年100万人以上の人が急性下痢症にかかっているそうです。下痢の原因はいくつもあります。疲れ、タイ料理の香辛料による粘膜刺激、食品に含まれるウイルス、バクテリアなどです。その中でも怖いのはウイルスやバクテリアによるものです。タイでは、水道水はバクテリアに汚染されている可能性があるので、必ず市販のミネラルウオーターを飲みましょう。特にお腹を壊しやすい方は、歯磨き後の口を濯ぐ水もミネラルウオーターが良いでしょう。水だけでなく、レストランで出される飲み物に氷が入っている場合もバクテリアに汚染されている可能性があるので注意しましょう。あらかじめ氷なしで注文したり、衛生面について聞いておきましょう。
また、地元の人たちが楽しむような通りの屋台も、衛生処理が十分でない場合があります。食品にハエが来ないように清潔に陳列されているか、食器も清潔な水で洗われていて汚れが残っていないか注意して観察しましょう。人によっては、自宅から清潔な食器を持ってきて、出来立ての調理品をよそってもらっている人もいます。これも自衛手段でしょうね。
もし気をつけていたにもかかわらず下痢になってしまったら、水分補給をしっかり行って脱水症状にならないようにしましょう。唇がかさかさしてきたら水分が足りていない証拠ですから、糖分と塩分を同時に補えるスポーツドリンクなどを積極的に摂りましょう。下痢が48時間以上続いたら、医師の診断を受ける必要があります。
デング熱
デング熱ウイルスを媒介するのは熱帯シマカと呼ばれる蚊です。この蚊は都市部に生息して日中に活動します。この蚊によって毎年4万人以上の人がデング熱に罹患しています。主な症状は高熱、筋肉痛、関節痛、吐き気、頭痛など。毎年雨期に感染者が増えますが、ワクチンがないのでとにかく蚊に刺されないようにしなくてはいけません。
事前に予防接種をうけることによって回避できる病気
現地で不安をかかえながら最大限の注意を払っていても、ウイルス感染というものは防ぎにくいものです。それならば日本にいるうちに受けられる予防接種は受けておいた方がいいかもしれませんね。
A型肝炎
A型肝炎ウイルスに汚染された食品や水を摂取すると感染する場合があります。症状は猛烈な倦怠感、発熱、黄疸、白色便、無力感、食欲減退などです。肝炎にかかったら安静にしていなければなりません。A型肝炎は日本で予防接種を受けることができます。
B型肝炎
血液を介して感染するウイルスです。輸血、性行為、注射針の使い回し、カミソリの使い回しが感染ルートになる場合があります。またピアスをあけたり、入れ墨をいれたりするのも感染の危険があります。B型肝炎は慢性化すると肝硬変や肝臓がんになる可能性もあるので注意が必要です。B型肝炎も日本で予防接種を受けることができます。
結核
過去の病とされてきた結核は、世界規模で新規患者が増えている病気です。タイでは新規罹患率が高いので注意する必要があります。毎年3万人から4万人が罹患しています。日本人は BCG を接種しているので大丈夫と軽視しがちですが、実際には日本では集団感染なども起こっています。充分に注意が必要です。