住居探し – 立地条件のチェックポイント
バンコクで住む場所を探す際、どのような点に気をつければよいのでしょうか?やはり外国、それも亜熱帯にある国ということで日本とは違う部分が色々出てきます。では実際の物件選びでどのような点をチェックするべきか具体的に上げてみましょう。なお文中の「~通り」というのは市内を走る大きな幹線道路で、「ソイ○番」というのはその幹線道路から分岐した小道になります。バンコクでは通常この「ソイ」が生活に重要な語句となります。
日常生活を送るのに便利な立地条件を考える
高架鉄道BTSの開通により特にスクンビット地区の利便性ははるかに上がりました。このため日本人学校への通学を考慮しなければソイ・エカマイを超えて、プラカノンやオヌット(ソイ77)の方に日本人居住区は広がりつつあります。特にバンコクから東方に通勤する場合はオヌットに近いエリアなども考慮に入れられるようになっています。他のエリアでもBTSの駅へのアクセスが容易かどうかは買い物、遊び、通勤(市内に勤める場合は電車通勤も視野に入れられるかもしれません)の利便性に大きく関わってきます。
通学を考慮する
立地の面で一番重要になるのが「学校に通う年齢の子供と一緒に住むのかどうか?」ということです。というのはバンコクの交通事情では学校への送迎は公共交通機関の安全性、自家用車による送迎が無理(社用車は仕事専用がほとんど)ということを考えればどうしてもスクールバスに頼る部分が大きくなるわけですが。そのスクールバスのカバーするエリアが限られてしまうからです。これこそが日本人の居住がスクンビット地区に集中してきた大きな要因なのです。もし日本人学校で学ぶ年齢のお子さんが同居する場合はスクンビット地区、なかでもソイ23(ソイ・アソーク)からソイ63(ソイ・エカマイ)の間の地域、という形に限定されてきます。
逆に単身赴任やお子さんのいらっしゃらない夫婦のみであれば立地の自由度は格段に増します。
通勤を考慮する
勤務地の場所も重要です。バンコクに住む方でもかなりの部分がそこから郊外にある工場に勤めていらっしゃる方ですので、東部のサムットプラカーン県、チョンブリ県方面にお勤めになる方であれば東に向かう高速道路かモーターウェーにアクセスが容易な地域。北のパトゥンタニ、アユタヤ方面にお勤めならば北に向かう高速の乗り口に出やすいエリア。西のサムットサコーン方面にお勤めであれば西へ向かう高速道路の乗り口に出やすいエリアが便利だということです。
食料品の買い出しなどを考慮する
家族連れの場合はさらに奥様が食料品・日用品の買出しに便利であることもチェックポイントのひとつになるでしょう。特に日本の食材を豊富に取り扱っているソイ33/1のフジスーパーやソイ39のフジスーパー2号店へのアクセスがよいと非常に便利です。
公共交通機関の有無
家族連れの場合、自家用車を持たない限りは社用車はご主人たちの通勤用に使ってしまいますので、奥様・お子さんが外出するのに住居の近くに交通機関があるかどうかというは重要です。アパートによってはアパートから大通りや駅などにシャトルバス(多くは3輪タクシーの特別改装車)を出してくれるところもあります。それでなければバイクタクシーやシーローと呼ばれる軽自動車タクシーが建物の前に待機しているか?待機していない場合であればそういった車が頻繁に建物の前を行き来して捕まえやすいかどうか、というのは重要なポイントです。外出時の暑さと治安を考えれば奥様やお子さんに外を歩かせる機会を多くしないように配慮することが肝要です。
周辺道路の利便性
「車社会」化が進み、朝夕にひどい渋滞が発生するバンコクでは通勤などに際して近接した道が渋滞しやすいかどうかというのも極めて重要。そしてメインの道が渋滞した場合に別の道に抜ける道があるかどうか、というのがさらに重要になります。昔から水路を中心に待ちが設計されてきたバンコクでは日本のように大通りから大通りへのバイパスが数多くあるわけではないのです。多くのソイは袋小路になっていて通り抜けは出来ません。そこでスクンビット通りの南側であればその南を平行して走るラマ4世通りに抜ける道が通じているかどうか?スクンビット通りの北側であればその北側を走るぺブリ通りへ抜けら易いかどうか、というのはチェックポイントの一つです。
またバンコクでは(大分少なくなりましたが)ソイが「一方通行」になっている箇所もまだまだ見かけます。この「一方通行」の方向が日常のお出かけの方向と合致していないとちょっと出かけるのに大回りをしなければいけませんので要注意。
洪水被害・治安など
低地にあるバンコクではスコールに襲われると水が道路にあふれるのが日常茶飯事となっています。しかし長年下水道の改修なども行っており、以前ほどひどくはなくなりましたがそれでも「大雨の後には川になる」道があるのは事実。少なくとも建物の目の前の道路は洪水の起こりにくい場所を選びたいです。
アパート・コンドミニアムの中にはかつてのバブルの時代にソイの奥の奥に建てられた物件も数多くあります。そういった物件は比較的安いものの、通り道の途中がスラムのようになっているソイもあったりしますので、そういう物件は避けた方がよいでしょう。
敷地内と部屋の位置
利便性の良い住居の候補を見つけたら今度は敷地の中の部分のチェックと部屋の位置の確認をしましょう。
セキュリティについて
普通アパート、コンドミニアムどこでも入り口に警備員がいてチェックしています。この警備員の勤務態度を観察しておくことは必要です。住居に泥棒などが侵入する場合、多くのケースで警備員自身が犯行に関与しているからです。
最近は安めのアパートでも「キーカード」による建物への入館のチェックが行われていることが多いです。これは安全面を向上させるのでキーカードの使用の有無は確認しましょう。もっともせっかくキーカードがあっても管理がルーズでドアが開けっ放しになっていることもありますのでそのようなことが無いことを確認してください。
注意すべき部屋の位置
建物の中における「部屋の位置」は日本の常識の「東南角地がよい」というのが当てにならないことを肝に銘じる必要があります。亜熱帯の国で日当たりがよいということはすなわち「部屋が暑くなる」ということです。「部屋が暑くなる」ということは不快感に加えて冷房するための電気代がかかるということですので「部屋が明るい」ことに気をとられてこの観点を忘れないように。特に南西はの角は夕方に暑くなり、夜まで不快な気温が続きかねません。
部屋が同じ位置であれば階数は高い方が良いのは間違いありません。高層階の部屋であれば建物の自体が通りに面していても外の雑音を軽減できます。また高所になればなるほど蚊や蟻といった害虫の害を減らせます。タイではバンコクでも蚊や蟻、シロアリが多く、特に蚊はマラリアやデング熱などの病原菌を媒介しますので出来るだけ排除するに越したことはないのです。
ある程度の高い建物であればエレベーターが無いことはないと思いますが、4,5階建ての建物ではエレベーターがないことがあり、そういった建物で上層階に入居するとものの運び込みから苦労することになりますし、仕事や買い物で疲れて戻ってきたところに最後に「階段」が立ちはだかることになるので考え物でしょう。
高層階に住んだ場合の問題点は停電や電圧降下(後者はいまだそこそこの頻度で発生します)で電気が止まった場合にエレベーターが使えなくなるケースがあるということです。特に電圧降下の場合はたとえビルが非常用電源を備えていても「電気は止まっていない(必要な電圧に達していないだけ)」ので非常電源は稼動しません。また実際に起こったことですが、ミャンマーで起こった地震の影響で軟弱地盤のバンコクの高層ビルにゆれが伝わり「避難命令」がでたことがありました。その時筆者の知人は35階から階段で1階まで避難したためかなり疲れたそうです。高層階の問題点で最後にいうと「最上階は避けた方が良い」でしょう。タイの建物は断熱加工が不十分なため下手な建物の最上階では日光で熱せられた屋上の熱気が天井から伝わってくる、という事態が実際に起こります。こういった事態は1回の見学程度ではわかりませんので最上階は避けた方が無難です。