タイの季節と祝日

タイの「三季」と祝祭日

タイの季節は温帯の日本の「四季」とは違い「三季」と称されています。三季とは「寒季」「暑季」「雨季」の三つの季節を指しています。「寒季」から「暑季」までが雨が降らないので「乾季」となりますが気温は著しく違うので分けられています。大体月で分けると以下のようになります。

(1)「寒季」 - 11月から2月
(2)「暑季」 - 3月から5月
(3)「雨季」 - 6月から10月

ちなみに有名な王宮寺院にあるエメラルド仏は3つの衣が用意してあり、各季節に応じて衣替えが行われます。また学校の長期休暇もこの季節に応じており、暑くて勉学に適さない3月中旬から5月中旬が学校の「夏休み」、雨が一番ひどくて通学に困難をきたしやすい10月が「雨季休み」となっています。

タイの祭日は概ね

(1)王室の関連の記念日
(2)仏教の関連の日

に分かれます。労働者保護法では休日は「メーデーを含む13日以上」となっていますが、(1)の国王誕生日や王妃誕生日、戴冠記念日、チュラロンコーン大王記念日や(2)の万仏節、仏誕節といった重要な日は大抵の会社で休日になります。ただし日本のように「お盆休み」のような長期の休みはありません。また年末年始の休暇もタイの企業では12月31日と1月1日の2日間だけという会社が多いです。(役所や銀行はもちろんこの2日しか休みません)ただし日系企業では日本の休暇に合わせて年末年始を長めに休むように設定している会社が多いようです。

王妃様の誕生日や国王陛下の誕生日など王室に関わる重要な祝日には王宮前広場で大規模なお祝いの催し物が行われるのが常です。

またタイで信仰されている南方上座部仏教では仏教の創始者である仏陀に関わる重要なことは「満月の日」に起こったとされています。例えば日本では仏陀の誕生は4月8日、悟りを開いたのが12月8日、涅槃に入った(亡くなった)のは2月15日としてそれぞれ法要をあげています。しかし上座部仏教では上の3つの事柄は皆同じ陰暦の6月の満月の日(太陽暦の5月)に起こったこととされています。またインドの気候に応じて雨季に遠出が出来ないために一所に留まる「安居」の習慣はタイでもそのまま取り入れられており、概ねタイの雨季の期間はタイの僧侶は遠出をせずに寺で過ごすようになっています。こうした南方上座部仏教に基づく祭日はタイの人々にとっても重要な日であり、これらの日には朝には僧侶にお布施をし(タイ語で「タンブン」)、夕刻には寺の本堂を蝋燭を灯して3度回る(ウィエンティエン)の儀式を行います。

以下にタイの主な祭日を簡単に紹介します。()内はタイ語での呼び方です。

1月1日: 元旦(ワン・ピーマイ)– 役所・銀行・学校・会社は休み
その名の通り元旦で、役所も含めて休日となります。タイでは1月1日は「「西洋の暦の正月」としてあまり重要視はされてはいません。

1月の第2土曜日: 子供の日(ワン・デック)- 学校のみ休み
タイのこどもの日は日本とは違い1955年に制定された国連児童憲章に基づいて設けられました。この日は対全国で子供向けの様々な楽しい行事が行われます。

1月16日 : 教師の日(ワン・クルー)- 学校のみ休み
タイで教育法が施行された1945年1月16日を記念してこの日は学校を休みとし、やはり全国で色々な行事が行われます。

1月末か2月始め: 中国正月(トゥッ・チーン)- 華僑系企業、中国・台湾系企業など休み
旧暦(太陰暦)の正月で、中国と時を同じくして華僑系の企業などでは休みになります。役所は日系企業などは普通に営業する場合が多いです。この期間(通常3日間)中華街であるヤワラーでは華僑系住民による盛大なパレードが催されます。

2月中旬: 万仏節(マカブッチャー)- 役所・銀行・学校・多くの企業で休み
旧暦3月の満月の日で、この日に(1)誰からとなく1250人の、(2)仏陀から直接教えを受けた、(3)阿羅漢と呼ばれる高い地位に達した高僧たちが、(4)当時仏陀のいた竹林精舎にあつまった、という4つの慶事が重なったことを祝うものです。

4月6日: 建国記念日(ワン・チャクリー)- 役所・銀行・学校・多くの企業で休み
1782年のこの日に当時のトンブリ王朝の将軍だったチャオプラヤー・チャクリーが推戴を受けて王座につき、現王朝を開いた日です。チャオプラヤー・チャクリーはラマ1世(在位:1782~1809)と呼ばれるようになりました。

4月13~15日: タイ正月(ワン・ソンクラ-ン)- 役所・銀行・学校・多くの企業で休み
タイの「本当の正月」とも言うべきもので、13世紀のスコータイ時代から続いているとされています。この期間は無礼講で水を掛け合ってお祝いします。この期間の外出には水濡れへの備えが必要です。

5月1日: メーデー(ワン・レンガーン)- 銀行・学校・企業は休み 役所は休まず
国際連合によって定められた「労働者の日」でタイでは労働者保護法で祝日と定められています。

5月5日: 戴冠記念日(ワン・チャ-ッモンコン)- 役所・銀行・学校・多くの企業で休み
現国王であるプミポン国王陛下が1950年のこの日に戴冠式を行ったのを記念する日です。

5月前半: 春耕節(ワン・プーッモンコン)- 役所のみ休み
バラモン教の司祭がつかさどる儀式を王宮広場で行い、歩かせた牛の選んだ餌と布の種類によって当年の作物の出来や天候などを占う儀式です。

5月中旬: 仏誕節(ワン・ウィサーカブッチャー)- 役所・銀行・学校・多くの企業で休み
旧暦6月の満月の日で、上に書いたように仏陀は紀元前543年のこの日に生まれ、35歳のこの日に悟りを開き、80歳になったこの日に亡くなられたとされています。

6月の第1木曜日: 拝師の日(ワン・ワーイクルー)- 祝祭日ではない
現王朝の早い時期から行われてきた伝統的な「師を敬う日」で師(教師など)に対してドク・ケム(針の花の意味)という花などを捧げて感謝の意を表します。

7月中旬: 三宝節(ワン・アサーラハブッチャ)- 役所、学校、一部企業は休み 銀行は営業
旧暦8月の満月の日で、悟りを開いた仏陀が八正道を説くことで仏教で言うところの「法」を作り、5人の弟子を教化して悟りを開かせて新たな「仏」とし、その5人によってサンガ(「僧伽」)と呼ばれる信者の組織をつくり、「法」「仏」「僧(伽)」の「三宝」が成立したとされる日を祝う日。

7月中旬: 入安居(カオ・パンサー)- 役所・銀行・学校・一部企業は休み 
三宝節の翌日で、この日から雨安居といってすべての僧侶は遠出を控え、寺にこもって修行をします。

8月12日: 王妃誕生日(母の日、ワン・メー)- 役所・銀行・学校・企業も原則皆休業
現在の王妃であるシリキット王妃様の生まれた日で、「国母」とされている方の誕生日であることを踏まえて1992年から「母の日」とされています。(「ワン・メー」は母の日の意)この日は子供から母親に対してカーネーションをプレゼントします。

10月23日: チュラロンコーン大王記念日(ワン・ピヤマハラーッ)- 役所・銀行・学校・一部企業は休み 
タイの過去の諸王の中でも最も偉大とされているタイ近代化の父でもあるチュラロンコーン大王ことラマ5世王(在位:1868~1910)の崩御された日を記念しています。ラマ5世王は日本の明治天皇の同時代人(在位期間はほぼ同じ)で日本の文明開化同様タイの諸制度の近代化に取り組んだ偉大な王です。

10月下旬 : 出安居(オーク・パンサー)- 祝祭日にはならず
雨安居が明けて僧侶も自由に活動できるようになります。僧侶はこの雨安居の期間を寺院で過ごして初めて一人前と見なされます。

10月末か11月初: 灯篭流し(ローイ・クラトーン)- 祝祭日にはならず
旧暦の12月の満月。雨季の終わりを祝い、自らの抱えた罪や不幸を川に流して浄化する、という祭りで日本の灯篭流しとは意味合いが異なります。多くの民衆が近隣の寺や川、運河に赴き手製や購入した灯篭に火を灯して川に流します。チェンマイの灯篭流しは大規模なお祭りで有名です。

12月5日 : 国王誕生日(父の日、ワン・ポー)- 役所・銀行・学校・企業も原則皆休業
その名前の通りプミポン国王の誕生日。1927年のこの日にご誕生になりました。「国民の父」たる国王陛下にあやかり「父の日」ともされています。

12月10日: 憲法記念日(ワン・ラーッタマヌーン)- 役所・銀行・学校・一部企業は休み 
1932年6月24日に当時のラマ7世王に対して人民党が革命を起こし(立憲革命)同年のこの日に最初の恒久憲法が公布されたのを記念する日。これ以降タイは王室による専制国家から立憲君主制国歌となりました。

12月31日: 大晦日(ワン・シンピー)- 役所・銀行・学校・企業も原則皆休業
文字通りの大晦日で最近は各所で大勢の人が集まりカウントダウンが行われます。セントラル・ワールド・プラザ前で行われるカウントダウンが有名です。